予定と実践:運命の糸としての酵素
過去と未来を結ぶ運命の糸は
その糸が置かれる環境により変わってくる
勤務先の近くの食堂の如何で
昼食で食べるものは変わってくるし
タンポポの種は
落ちた場所により咲かせる花が
大きくなったり小さくなったり
場合によっては花を咲かせることが出来ないかもしれない
運命の糸は
周辺により改変されるのである
水も
熱せられれば水蒸気になり
冷やされれば氷になるし
鉄も
地球上では鉄のままでいるのだけれど
ブラックホールに取り込まれれば
重力崩壊を起こし鉄ではいられなくなる
このように
運命の糸は
物質の性質とその置かれた環境によるところがある
その意味で
生命の作り出す酵素は
それぞれが運命の糸であるのだろう
酵素による触媒作用があれば
基質は反応物へと化学反応を起こし変わってゆくからである
酵素は
基質の未来を反応物へと導く運命の糸ということができるだろう
こうした酵素が合目的的に集合し
運命の糸が撚り合わさり
合目的的な生化学反応が実践され
生命の成長や恒常性の維持が図られている
こうした酵素による触媒反応は
環境により大きく変わり
温度が少し変わっただけで
酵素の触媒作用が強くなったり弱くなったりする
運命の糸は在るだけでは足りないのである
その糸が未来を導くためには
その糸に適した環境を整えなければならない
ところで
言葉にも
酵素のような触媒作用がある
言葉により
人間の行動が変わるからである
言葉も
運命の糸ということになる
この運命の糸も
環境で大きく変わる
言葉が作用する環境と
言葉が作用しない環境があるのである
どんな場所で発せられた言葉であるのか
誰が発した言葉なのかで
言葉の影響力は大きく異なることになる
言葉は
そんな環境により大きく左右されてしまう
脆弱な運命の糸である
それでも
撚り合わされ
力強く運命を変えてゆく糸に育て上げられているところがある
「あいつはいいやつだ」と皆が言えば
あいつはいいやつで
「あいつはわるいやつだ」と皆が言えば
あいつはわるいやつになるのである
そんな言葉による運命の糸により
あいつの未来は変わってゆく
私も変わってきたのだろう