ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

予定と実践:誤りを求めてさすらう思考の役割について


来年の春になれば
また
この桜並木は
薄紅色の花に覆われているのだろう


一本一本の桜の樹が
一枝ごとの桜の枝が
その春に向けて

来春の花を仕込み続けているのだろう


この桜たちには
思考のない予定があり
思考のない実践がある


思考がないままに
見事な桜を毎年欠かさずに咲かせている


もうすでに
改良の余地がないくらいに出来上がっている予定なので
思考する余地もないのだろう


悩む必要もないのである


そんな桜たちにとっても
より美しくなる機会がないわけではない


遺伝子の突然変異である


醜くもなる可能性も
美しくもなる可能性を
突然変異はもたらすのである


さて
このような突然変異は
思考であろうか?
それとも
単なる試行であろうか?


思考は
仮想空間での試行錯誤であり
試行は
実体世界での試行錯誤である


「これがああ変わればどうなるだろう???」


こうした実験を
仮想世界で行うのか
実体世界で行うかの違いである


ただ
ここで明確にしておかなければならないことは
  仮想世界の出来事は
  あくまでも
  実体世界に反映する前座であり
  仮想世界の試行錯誤の結果
  よさそうな試行を
  実体世界で再現しなければ
  その思考の良否を判断できない
ということである


思考は
実体的試行を効率化する前座なのである


言葉を変えると
思考は
実体的試行の上流に位置しているのである


桜の突然変異には
何か思考に相当するような上流域は在るのだろうか?


紫外線が
遺伝子を壊し
これを修復する過程で間違いが起こり
突然変異が生じるという


そこで
紫外線を当て
無理やり突然変異を増やし
実体世界での新たな形質出現を促したりする


紫外線が試行錯誤を効率化させるのである


とすれば
誤りをもたらす紫外線が
実体試行の上流域に在るということになる


もしかすると
思考の本質の一つには
誤りを生むことがあるのかもしれない


あろうはずもない白日夢に
夢うつつの時を過ごすことがある


嘘から出た真


そんな真を求め続け
思考は誤りを生み出し続けているのだろう


誤っては正し
正してもまた誤り
そしてまた正す


思考も実体も
こんな試行を繰り返している

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