ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

触媒と必然:理論が頼る因果律


布団の中で
目を瞑り
寝転んで
体の力を抜く


右手の指をちょこちょこと動かして
しばらくしてから
今度は
左手の指をちょこちょこ動かしてみる


するとどうだろ


動かしていないほうの手は
存在しないかのような感覚になる


そんなことを考えている我は
しっかり在るけれど
我思えども
動かさぬ指は在らぬように思えてくるから
人間の感覚は面白い


指は思うから在るのではなく
動かすから在るようなのだ


同じように
私の普段着の思考の中で
私の血管を流れるブドウ糖の存在を知らない


しかし
お腹がすいたら
血糖値はおそらく下がっているのだろう
ということを理解している


このような理解には
「お腹がすく」という知覚と
「血糖値が下がるとお腹がすく」という知識が必要だ


「お腹がすく」も
「血糖値が下がるとお腹がすく」も
血糖値を直接測定しているのではない


では
血糖値を測定するために
採血して
その血液中のブドウ糖濃度を測定する時
測定する機械は
直接ブドウ糖の数を数えているかと言えばそうではないだろう


詳しくは知らないが
一般的な測定機器の原理を考えるに
おそらくは
ブドウ糖の性質にかかわる知識と
その知識を利用した何らかの電気的性質の変化から
ブドウ糖濃度を測定しているのだろう


要は
機械も
間接的にブドウ糖濃度を推定しているのだ


指を動かすと
その動きで指を認識するように
ブドウ糖により動く何かを機械が検知するのだ


この指の動きにより動く意識的な何か
このブドウ糖により動く機械的な何か
血糖の低下で導かれる空腹といったものが
その起源にある指やブドウ糖や血糖低下を推定させる


思うことにより動く意識的な何かが
我を推定させるようなものだ


これらはみな
結果があるから原因があるという論理展開だ


原因と結果


この関係の蓋然性の高さに基づき
論理が展開されているということだ


触媒反応が規律正しく転回しているシステムにおいて
その触媒反応により維持されている原因と結果は
必然と言えるほどに蓋然性の高い因果関係を
表出している


理論は
このようなシステムにおいて
非常に有用な思考手段であり
システムの内部が
その理論が適応できる範囲ということになる


このように
理論が
原因と結果の蓋然性の高さに依存する限り
理論は
その世界の触媒性能の高さにより
精度が高まり
触媒が存在する広さにおいて
適応範囲が広がるということになる


素晴らしい理論が素晴らしくあるためには
素晴らしい触媒が機能していることが重要だ


同じ素晴らしさを信じる者の間で
素晴らしい世界が供用されている


素晴らしい二人の世界は
その二人にとって
とてもとても素晴らしいのだ


私の指と
私の意識にも
素晴らしい世界が広がっている


それを壊す病魔は
忌み嫌われなければならない悪である

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