虫けらをつぶすと
さっきまで
せわしなく動いていた物体が動かなくなる

さっきまでは
小刻みに羽を動かし
自由に空中をも飛び回っていた物体が
全く動かなくなる

スクラップ工場でつぶされた車のエンジンが
もう二度と動かないのと同じなのだろう

なぜつぶれると動かなくなるのか？

同じ物質の組成でありながら
動いているときと
つぶれた後では
物質間の関係性が著しく変わったからだ

虫けらにしても
車のエンジンにしても
物質と物質の関係
部品と部品の関係が
それぞれの機能のために
互いに助け合う関係が成立していて
初めてその機能を発揮し
動くことができていた
それが
つぶされると
この関係性が崩壊してしまい
動かなくなってしまったのだ

互恵的利他の関係により
虫けらも
車のエンジンも動いていたということだ

この関係性を維持するために
虫けらでも
エンジンでも
様々な物質が加工され
加工されたものは適切な場所へと運ばれて
関係性を維持するよう組み立てられる

様々に組み立てられたシステムがある

ひとつの関係性が壊れると
それがシステム全体を破壊することもある

この組み立てを巡り
争いが起こることがある

私もシステムの一部として
様々な関係性の中にいる

生きるということは
様々な争いの潜在の中にいるということなのだろう

一瞬たりとも気を抜かず
つぶれないように踏ん張り続けているのだ

夕方にはくたくただ

疲れるはずである