法律が守ってくれるから
法律を守る

自分を守ってくれない法律は
あまり好きではないし
むしろ嫌いになる

このような気持ちが
法律の下に人を集め
法律の下に派閥を創り
その法律が群れの営みを鼓舞したりする

言葉が伝わるから
言葉を覚える

伝わらない言葉は
好きになれないし
覚える気も失せやすい

このような気持ちが
言葉の下に人を集め
言葉の下に派閥を創り
その言葉が群れの営みを鼓舞したりする

法律も言葉も
人間に恵みをもたらし
人間を支配する

そうしながら
法律も言葉も生き延びてきた

私も
細胞に恵みをもたらし
細胞を支配し生き延びてきた

私の細胞に恵みをもたらし
私ではない細胞やウイルスを排除しながら
私を維持してきた

言葉も
法律も
自分ではない要素を排除しながら
自分を守る要素に恵みをもたらし生き延びてきた

この意味で
レイシズムがアイデンティティーを支えてきた
そして
アイデンティティーがレイシズムを維持し続けてきた

恵みの自由自足のなかで
レイシズムと
アイデンティティーが互いに高めあいながら
共循環を繰り返す

この自給自足の弱まりの中で
多様性社会が幕を開けた

頑固なアイデンティティーが
セピア色のロマンを漂わせながら
優柔不断をせせら笑うのだけれど
頑固なアイデンティティーの窮屈さに
痛ましさが透けて見える時代になってきた

インターネットの時代
どこまで法は統合されてゆくのだろうか？

私の意識は
どこまでインターネットの中に溶けてゆくのだろうか？

私を守る私は
私の中で頑固なまでに
他者を排斥するレイシズムとともに
私のアイデンティティーを主張し続ける

裏を返せば
言葉や法律が私のアイデンティティーやレイシズムを
静かに希釈してくれている