ジッと時計を見ながら
「動け動け」と念じても
なかなか時計の針は動いてくれないのだけれど
時計から目を離した隙に
時計の針が
いつの間にか動いていたりする

　　時間が進むから
　　時計の針が動くのか？

　　時計の針が動くから
　　時間が進むのか？

ジッと指先を見つめ
「動け動け」目に力を込めて念じても
目力でなかなか指は動いてくれないのでけれど
指から意識を外すと
解放されたかのように
指が自由に動き出す

　　念じているから
　　指が動くのか？

　　指が動くから
　　念じているのか？

「動け」と
言葉で命令しただけでは
時間は進まないし
時計の針も動かない
指さえも動かない

時間も
時計も
指も
それぞれに世界があり
それぞれに動いている

言葉も意識も
それぞれの世界があり
それぞれに動いている

それぞれに
それぞれの世界の動きは
それぞれの世界の流儀で制御され
世界の間で影響し合う場合には
その影響し合う別の世界としての流儀が必要になる

時計を直すには
機械仕掛けの仕組みの知識が必要で
指を直すには
生理学の知識が必要だ

このような知識は
意識と
時計や指をつないでいるけれど
このような知識がなくても
時計は動き
指は動いている

サードワールドは
世界と世界を結び付けている
インターフェイスとして機能している

このインターフェイスの
結びつきが強まり
多面的に成立してゆくと
世界はしだに統合されてゆく

意識というものは
このようにして発達してきた
インターフェイスなのだろう

このインターフェイスのおかげで
完璧ではないが
インターフェイスを見つけては
それをうまく利用できるので
ありがたい