赤信号は
ある意味
権威の象徴だ

皆が
その権威を認め
赤信号では
歩行者は立ち止まり
車両は停止する

赤信号を無視して
歩き続けたり
走る続けたりすると
事故を起こさなくとも
白い目で見られたり
取り締まりの対象となる

赤信号は
事故防止のためではあるが
単に事故を起こさないためだけにとどまらず
それを守ることが
目的と化しているところがある

事故を起こさなくても
赤信号を無視してはならないのだ

誰もいない交差点でも
赤信号ならば
停車しなければならない

実質的な意味がなくても
赤信号に敬意を表する

赤信号には
このような権威が備わっている

権威は
このように
意味がないことにも敬意を払わせることで
秩序を維持する機能がある

偉くもない人に敬意を払うのも
権威がなせる業だ

裸の王様の童話を思い出す

権威を畏れる大人と
権威を知らない子供で
裸の王様への態度が変わるのだ

赤信号を知らない子供は
赤信号への敬意が足りない

だから
交通安全教室を開いて
権威を学習しなければならない

権威に対して敬意を表せる様になってこそ
立派な大人となる

犬や猫や森の動物は
いつまでたっても
赤信号の権威の基に下らない

だから
事故にあうのだ

生き易くなるためには
権威に従うことだ

こうした権威が広がることで
犬や猫や森の動物は
生きにくくなった

権威は
誰かを生き易くし
他の誰かを生きにくくする存在であるようだ

権威主義は
敬意を表するものにとてもやさしい