シュレーディンガーの猫
ご機嫌という存在は
不可思議な存在だ
その存在を
把握しようとすると
元の姿を失い
さっきまでのご機嫌は
逃げ去ってしまう
原子核の周りをまわっている電子の軌道も
知ろうとして追いかけると
見えなくなってしまうという
*
何時の間にやら
事態が急変していることがある
なぜ
何時
どうしてそうなったのか?
そんなことを
全く知らずにいるうちに
事態が急変していることがある
その事態の急変を
知ろうとして
目を凝らしていても
いつの間にか
事態が急変していることがある
事態が急変しないように
目を凝らすばかりではなく
口を出したりしていても
事態が急変してしまうことがある
口出しが
やぶ蛇になっていたと
後から気が付くこともある
*
機嫌という存在には
やぶのようなところがある
つつくと蛇が出てくることがある
かわいい蛇ならいいが
毒蛇は勘弁願いたい
*
電子も機嫌も
動き回り
その行方は
闇雲の中にあるらしい
けれども
だいたいはきまっているらしい
そんなだいたいの中にいることしかできない
精密機械のようにはいかないらしい