これはペンである
あれもペンである
その向こうにあるのもペンである

世界にはペンがたくさんある
そのすべてがペンであり
「ペン」という文字は
世界に存在する全てのペンの
総称であり
象徴であり
ペンの全たる神であり
イデアである

文字としての「ペン」が
物質としてのペンを
統括し
その中心として存在している

物質としてのペンは
「ペン」と称された瞬間に
物質としての中心は脱中心化し
文字へとその中心が移されている

これは意識の中の出来事なので
知覚としてのペンが脱中止化して
文字としてのペンに意識の中心が移るということだ

「これはペンではない」
と称さる紙や消しゴムは
「ペン」という文字により排除されている

このように
文字が
物質を支配する構造が
意識の中に存在している

このような構造により
知覚としてのペンは文字のペンとなり
知覚としての神も紙も髪もペンでないものとなる

文字は
知覚を脱中心化した先にある存在であり
知覚は
文字を脱中心化した先にある存在である

だから意識の中で
知覚と文字は併存せず
時間差を持って現れ
円環的な循環により結ばれている

個物の総称には時間の経過が必要であり
「我」の文字も時間とともに変遷する意識されている我の
総称であり
象徴であり
神なのだろう

我も
ペンと同様
たくさんあるのだけれど
ひとつの「我」へと総称され
脱中心化され
個性のない文字へと変換され
その味気ない存在が
過去と今と未来を結び付けてくれている