対応的同一:能動的再現と目的
笹舟を流す川の整備には
笹舟が滞りなくなく流れる環境を作るという目的がある
このような整備により
能動的に
より画一的な笹舟の運航が
誘導されている
*
リンゴを頭の中に描き
その数を数える
その時のリンゴは
どれもこれも
個性のない同じリンゴだ
ただ数えるためのリンゴなら
リンゴを区別する理由や目的が見つからない
ところが
スーパーに並んでいるリンゴの中から
ひとつを選んで買うとなると
どれが一番うまそうかを
些細な差も見逃さまいとよく見てから買う
結果において差がでてしまう場合
リンゴたちをよく吟味するのだ
逆に
数を数えるためのリンゴのように
結果において差が出ない場合には
リンゴたちを同じにしてしまう
同一であるということは
同一としても差し支えないから
笹船の航路整備のように
画一的に同一が誘導されているのであり
きっと
差支えが出ると
同一ではなくなる
*
リンゴが沢山あると数を数えたくなる
石の数も数えようと思えば数えられる
砂の数は数えたいとは思えない
粉の粒子の数は
顕微鏡を使えば数えられるのだろうが
そんなことをしてまで数える必要はない
水の分子の数など
科学の計算に負けせておけばいい
リンゴ、石、砂、粉、分子
大きさが違うと扱いが変わる
同じ存在なのに
扱いが変わる
*
存在は知覚の賜物だ
同じと知覚すれば同じであり
違うと知覚すれば違う
このような知覚の知覚に差が生まれるのは
目的に応じて知覚が働くからなのだろう
50個並んだリンゴが
目的の都合に合うように
みんながみんな同じ存在になったり
それぞれが違う存在なったりと忙しい
ただ数えるためのリンゴなら
その新鮮さや甘さや赤実などの形質は
笹舟の運航の邪魔になる石や流木のような存在で有り
数を数えるという目的のために
除去してしまうのだろう
数を数えている途中で
「このリンゴがいいな」などとお考えていては
いくつまで数えたか忘れてしまう
忘れてしまったら
また一から数え直すことになる
能動的に効率よく再現することが
数を数える時にも大切だ