ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

循環と遷移:循環の頻度と同一性


音楽が
媒体から別の媒体へと変換されてゆく


口頭伝承されて民謡は
口という媒体から
口という媒体へ
空気の震えや
耳の鼓膜の振動などの媒体を介しながら
伝えられてきた


このような媒体を介して
歌は再生され
幾度となく歌い継がれて来た


このような伝承が継続されてゆくか否かを決する
2つの要素がある


一つは
この循環のなかで
歌が再現される頻度で
もう一つは
再現された歌と
再現前の歌との同一性だ


循環が繰り返され
より多くの循環が
より多くの口で再現されると
歌は伝承されやすい


しかし
方言のように
地方地方で
異なる歌に変容してゆくと
元の歌は消滅する


同一性が維持された方が
より長い間
その歌がその歌として伝承されることになる


年に
のべ1億人の人が歌う歌であっても
年に
のべ10人の人が歌う歌であっても
必ず同一に歌われていれば
どちらの歌も
存続してゆくことになる


のべ1億人の歌よりも
のべ10人の歌の方が
きちんと同一性が管理されていれば
伝統芸のように
のべ10人の歌の方が
長きにわたり同一なまま伝承されてゆき
管理の行き届かない
のべ1億人の歌は
様々な亜流が循環の過程で遷移して現れてきて
元の歌は淘汰され消えてしまっているかもしれない


ただ
のべ10人の歌は
その再現頻度が低いので
一つ間違うと
すぐに消えてしまう危機に常にさらされる


のべ1億人の記憶にある歌の方が
多様に遷移しやすい面もあるが
循環は維持されやすい


循環の頻度が高いことと
同一性を維持することの
両方を満たす技術があってこそ
同じ歌が
時代を経て維持されてゆく


媒体から媒体への変換が
いかに効率よく
いかに正確に行われるか
この技術力が
循環の持続性の確保に関与している


生命は
よりたくさんの同一な子孫を残す技術体系だ


媒体から媒体への変換技術が
自然の中で試され
淘汰選択されている

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