この国は
かの国とは違う

私は
あなたとは違う

思考的な多型を制御することにより
自身のアイデンティティーが維持されている

私どもは
あなた方と違います

何が違うのか
よくわからないけれど
とにかく違うことは確かだ

こんな根拠のない違いから
違いをあえて作り出したりもする

差別化だ

自分たちは
他より優れている

そのことは確かだ

果たしてどこが優れているのか？

それは
よくわからないが
よくわかるように作り込み
分かりやすく表示しなければならない

様々な学校行事の中で
クラス対抗戦があった

いくつかのクラスという
同質である存在が
対抗する中で
それぞれの個性を表出するようになる

対抗する相手との違いを
より明晰に仕立て上げ
クラスの個性を光らせてゆく

クラスのリーダーは
その象徴となる

国家元首のプロトタイプともいえよう

このリーダーが
クラスメイトの個性を尊重しながらも
クラスメートたる者の個性を
意識的にせよ
無意識的にせよ強要してゆく

自分たちのマークを創り
旗や
ユニホームにそのマークを結わえ付けたりする

そのマークの下で
思考的多様性は
クラスの規範により制限され
クラスのマークの下に団結する

他のクラスとは違うのだ

その違いを誇りに思うのだ

この結果
クラスメートに信頼を寄せ
他のクラスの人を卑下したりもするようになる

なんとも
人間らしい営みだ

何もないところに差を設け
その差をどんどん大きくしてゆくのだ

集団は
元来
多様性を制御する存在であり
多様性を保護する存在ではない
しかし
許される多様性と
許されざる多様性があり
その出し入れの中で
より輝く個性を模索している

集団が成長するには
多様性に対する許容も
大きくなければならない部分があるからだ

結果として
多様性を
許容しながら
制限する

複雑で矛盾したものを包含する
巨大な塊が
右往左往しながらも
連帯を維持してゆくから
社会は奥深い