繁栄という時流に
時流に乗りあえて流され
はやりの時事を追いかけながら
世間話に興じていると
時流の申し子が出来上がる
口当たりの良い
世間話に
ちょっとニュアンスの違い醸し出し
それを互いに味わいながら
大筋合意の時流を互いに確認し合う
戦時には戦時の時流があり
コロナ禍にはコロナ禍の時流がある
*
人と人の接点を減らすことに
どのような意味があるのだろう
バッタが大繁殖して
農作物を食い荒らしているという
人間が地球を食い荒らしているという
過ぎたものは
言葉であろうと
現実であろうと
やがて落ち着いて行くものだろう
*
匿名の意見が
SNSを駆け巡る
顔を見合わせて行う意見交換とは異なる
隠されていた本音を
語り合える場が増えてきた
攻撃し過ぎてはいけない
そんな本能のなかで
喉元でとどめていた言葉が
SNSにあふれでている
攻撃があれば
逃げればいいのだけれど
空間のないSNSから
何処へ逃げればいいのだろう
*
人類が繁栄している
科学技術が繁栄している
この繁栄を追い求め
人は言葉への依存を深めてゆく
人類が育ててきた言葉の文化に
人類が支配されている
人類が育てた科学文化に
人類が支配されている
バッタが大繁殖するように
見境なく
時流に乗った人の群れが
互いの距離を縮めている
そして
近すぎる距離故に
互いに傷つけあいながら
地球をわがもの顔で闊歩する