廃屋の庭にて
雑草は自由競争の勝者であり
力強く根を張っている
美しい花を咲かせる観賞用植物や
おいしい野菜は
人間に選択されていて
自然に選択されたものではないから
どこか弱弱しいのだけれど
人間の威を借りて
雑草を見下しているかのように育ってゆく
英才教育のエリートのような運命だ
人間それぞれに皆
様々な才能の種を持ち生まれてきた
そして
それらの種のうち
いくつかの種を埋めたままし
いくつかの苗を枯らしながら
いくつかの草木を育て上げ成長してゆく
真剣に泣くこともあれば
嘘泣きをすることもある
心の底から笑うこともあれば
作り笑いを浮かべることもある
窮屈な作法の中で自分を消し去ることもあれば
何もない自由の中で自分を見失うこともある
育てられてきた受け身の私と
育ってきた能動的な私がぶつかる時もある
雑草だらけの廃屋の庭に
バラの花がかろうじて一輪咲いていた
そのバラに
マルハナバチが軽快な羽音を響かせ訪れる
バラとハチが出会う幸せは
互いに導き合い求めあう雑草の様な魂