因果関係の構造が
頭の中に形成されており
結果を見ると
その原因を判断する思考が成立している

原因と結果を紐づけるコード表のようなものが
頭の中にあるのである

言葉の
表現と意味も
同じようにコード表として
頭の中にあり
猫という言葉の意味は
さらに
猫を見た時の視覚や
猫を抱いた時の柔らかな感覚などと
紐づけられている

言葉と感覚の関係も
コード表として
頭の中にあるのである

このようなコード表に従い
思考としての現象が
連鎖してゆく

インパラがライオンを見つけると
逃げ出すのも
ライオンを知覚することと
逃避することが
インパラの頭の中で
コード表として結びついているからだろう

感覚と行動の紐づけである

頭の中のコード表は
生存競争の中で
形成されて来た進化の賜物だ

有益なコード表は生き残り
有益でないコード表は承継されにくい

オタクと言われる方々の頭の中では
オタクな分野でのコード表を詳細に形成されている

専門家と言われる方々の頭の中でも
それぞれの専門分野のコード表が大切に保持されている

そのためか
時に常識的なコード表をどこかに置き忘れ
専門馬鹿と言われてしまうようなことも起こってしまう

戦場の戦士も
生き残るためのコード表よりも
敵を倒すためのコード表を大切にしているところがある

スポーツ選手も
自らの健康のためのコード表よりも
勝負に勝つためのコード表を優先するがため
健康を害してまで
自らを追い込むことがあるように見受けられる

個人の利益
企業の利益
国の利益
地球の利益

コード表により
異なった主体の利益が優先される時
どのコードを優先すべきかという問題が生じる

その解決は困難なので
誤魔化すように
本音と建て前を使い分けられ
総花的な言葉が飛び交うことになる

どちらかを選べないというのが
切羽詰まっていない状況における通常であり
それを正当化するために
「アウフヘーヴェン」などと称し
いいとこどりが可能だと主張してみたりする

このような誤魔化しを排除しなければならないとなると
隠れキリシタンを探すように
踏み絵を踏ませるようなことをしたりすることになる

なんとも殺伐とした光景だ

切羽詰まっているから仕方ないのかもしれないが
人間が人間を収めたがるのだから仕方がない

＊

状況や情況で
コード表を使い分ける能力を人間は持ち合わせ
使いこなすために
欺瞞や
裏切りということもありながら
人間社会が蠢いている

このため
他人を便利な道具として使用するためには
隠れキリシタンを暴いたりするように
コード表を都合よく使い分ける能力を制限する必要がある

このような制限する技術を
身に着け合い
駆け引きを繰り広げる世界に生きるのも
なんだか息苦しいし
全く無頓着でいていいように使われるのも
しゃくに障る

そこで
「アウフヘーベン」しながら
重苦しい息苦しさと
気軽な諦めを
状況情況に応じて
使い分けながら
時に自己矛盾に苛まれながら生きることになる