ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

現象と構造:共通項を取り出すということ


大きさの異なる2つの正三角形は
「相同」の関係にある


大きさも同じの2つの正三角形は
「合同」の関係にある


2つの三角形である限り
それぞれ別の三角形であり
同一ではないけれど
「相同」であったり
「合同」であったりと
共通項が取り出され
その共通項に
「相同」「合同」といった命名がなされいる


赤信号の「赤」や
赤とんぼの「赤」も
共通項の取り出しとその命名により成立している言葉だ


「赤」という経験が記憶の中にあり
その記憶を呼び覚ます出来事に触れると
この「赤」の記憶と共通性を見出す


このような経験と記憶の共通項として
様々な言語が命名されている


こうして
同一ではない赤信号と赤トンボに
「赤」という共通項を見出しラベルを付している


今は過去と同じではないが
今と共通するような過去の記憶はたくさんある


この共通項が過去と今を同じようなものとして
思考させることになる


記憶の中にある景色と同じ景色を見て
「同じ場所にいる」と思う


寝る前に見ていた景色を目覚めた時に見ると
寝た時と同じ場所で起きたと考える


時間が経過していれば
全く同じではないにもかかわらず
同じであると判断する


このように
「同一」ではなくとも
共通項が多いことで
「同じ」になる


だから
私と他人は異なっていても
同じ人間に名なる


「同じ」は共通なだけで
「同一」ではないのだ


言葉は金太郎飴をたくさん作りだしているのだ


同じようなものを同じと言い張り
言葉は成立している


どのひとつの鶏のから揚げも
他のどの鳥のから揚げとは異なる存在ではあるが
「鶏のから揚げ」として同じように取り扱われる


私も名前ではなく「一兵卒」になれば
他の「一兵卒」と同じに取り扱われるだろう


このように考えると
言葉は
差異化する存在ではなく
同質化する存在となる


同質化するがゆえに
同質化しえない存在を排除する必要から
言葉と言葉の間には差異が生まれるのだ


とある言葉は
共通項を見出せる仲間を設け
それを見いだせない存在を排除することにより
成立している


レイシズムの源流は
言葉の機能と深く関連しているのかもしれないが
それを乗り越える共通化もまた
言語の性質だ


個人ではなく
皆が皆同じ「一兵卒」にしてしまえば
王様も平民も皆同じになれるのだ

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