ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

局在と遷移:内在化する環境たち 言葉たち


四季のある日本に暮らす昆虫には
寒さの厳しい冬を超える能力が備わっている


卵で冬を越す種もあれば
蛹や成虫で冬を越す種もある


いづれにしても
寒さに耐える仕組みをそれそれ講じ
厳しい季節を乗り越え
環境が好転した時に
生命活動を活発化させる年周リズムを
毎年展開している


それぞれの昆虫に
それぞれが生きるべき未来の環境が予定されているようだ


想定内の環境の中で
それぞれの昆虫が年周リズムを刻んでいるという事だ


こういう環境になったらこうする
ああいう環境になったらああする


こんなレパートリーを
たくさん持ち合わせこの世に生を受けたという事だ


生まれながらにして
環境を内包しながら生きている


想定された環境と
現に今置かれている環境を内包し
それを比べながら
年周リズムを実践し
厳しい冬の環境を乗り越えたりしている


想定された環境と
現在の環境を比較していると書いたが
比較しているというより
むしろ
想定した環境になっているかどうか
常に感知をしながら
実際にそれが感知できるようになると
想定した環境に沿った反応を実践してゆく
というのが実際だろう


肝臓のインスリン受容体も
反応すべきインスリン濃度と
現在のインスリン濃度を比較しているわけではない


常にインスリンと結合して反応する準備が整っている中で
実際にインスリンと結合した時にだけ
その反応を実践しているのだ


昆虫たちも
冬を感知しようとそれぞれのアンテナを張り
そのアンテナが冬の到来を感知すると
冬を超える様々な工夫を実践する


このように
昆虫たちの内部に
感知しようとする環境が局在している


逆に言えば
感知しようとしない環境は
昆虫の内部にはないということになる


環境のすべてが
昆虫の内在するのではなく
昆虫が想定した環境だけが内在するのだ


この構造は
言語世界と相似している


世界に流通している言語のすべてを
個人が内在化しているのではない


内在化している言語にだけ反応し
その意味を感知できるのだ


反応を惹起する刺激を
内部に局在化しているということだ


放射能汚染の怖さは
それが見えず感じないことになるという


生身の人間が
放射能が見え
感じることができれば
放射能を潜り抜けることも不可能ではなくなろう


放射能がまだらに高濃度に存在する環境でになれば
放射能を刺激として感知する感覚器が進化してくるのかもしれないが
生身の人間にはその機能はない


知るという事は
反応できるという事だ


花好きの人は
その花の名前をことごとく言い当てることができたりする


鳥好きの人は
その鳥の名前をことごとく言い当てることができたりする


日本に棲む昆虫にとって
冬を知ることはとても好ましいことなのだろう

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