嘘へのいざない
当たり前のことばかりだと
物語にならない
嘘のことばかりでも
物語にならない
当たり前の中に
嘘が
さも本当のように入り込んで
物語が生まれる
嘘には魅力がある
山椒の苦みが
日常に辟易としている大人の感性に
彩を添えるようなものなのだろうか
それに似て
僅かばかりの嘘に惹かれる
嘘に騙され
非日常に入り込みたい
でも
少しだけ、、、
また日常へと戻れる保証の中で
一時の嘘に憩いていたくなる
*
嘘に二種類ある
自分を利する嘘と
自分を貶める嘘
前者はそれ自体が憩いだ
後者は今を感謝する憩いの場となる
嘘には依存性がある
嘘に嘘を重ね
嘘に溺れたら
そこから抜け出すのは大変だ
少しばかりの嘘がいい
嘘をつき続けるために存在する組織や人が存在するとしたら
それはとても哀しいことだ
少しばかりの嘘がいい