ウイルスにとって
人間の細胞は餌ということらしい

生餌だ

モンシロチョウの幼虫に産み付けられた
アオムシコマユバチの卵から孵化した
このハチの幼虫は
モンシロチョウの幼虫を
生きたままくらい成長し
やがて蛹となり
成虫となる

モンシロチョウの幼虫は
その途上で息絶える

不思議なことに
このアオムシコマユバチは
モンシロチョウによく似た
スジグロシロチョウの幼虫には
ほとんど寄生しない

スジグロシロチョウは
アオムシコマユバチから身を守る
何かを体得しているのだろう

スジグロシロチョウに産み付けられた卵からは
アオムシコマユバチの幼虫が孵化しないというのだから
驚きだ

生餌にならぬよう
工夫を重ねて
スジグロシロチョウは生きてきた

モンシロチョウもマネできてしまえば
アオムシコマユバチは困ってしまうだろう

寄生する側の論理が
ほんのわずかな所で
寄生される側の論理に打ち勝ち
寄生が成立している

防衛するも命なら
防衛を打ち負かすのも命だ

自然の中で
命を懸けた攻防が顕在することがある

現代社会の中では
この当たり前のことを見なくてすんでいる

そんな贅沢に慣れているから
ウイルスがとても怖くなる

スジグロシロチョウのように
自分で身を護る強さが備わっていると
信じる強さを確信したい