ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

依存しているものに敬服する契機としての喪失


ものごころが付き始めたころの記憶だと思う


昼寝から起きたら
一緒に寝ているはずの母親がいなかった


きっと
早く起きて別の部屋にいるのだろうと
部屋を次から次へ覗いた


どの部屋にも
母親の姿はない


部屋を覗くたびに
心が疼く
期待が裏切られ
傷がつく


傷口もなく血は出ない
そのかわり
目から涙があふれだし
気が付くと
大声で泣いていた


何時間も泣いていた気がする


・・・


何のことはない
子供が寝ているすきに
買い物に行くことはよくあることで
今にして思えば
何のことはない


当時は
一大事であった


子供なりに
毎日を繰り返していた
そのすべてが
母親に依存していた


依存していたものを
取り上げられた命は
悲愴だ


豊かな森に依存している野生動物は
その森を取り上げられると
心の中で大声で泣き叫ぶ


整った住環境を災害で失った人々もまた
心の中で大声で泣き叫ぶ


前提が覆ると結論が覆る


依存するものに対しては
敬服しなければならない

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