現象と構造:自己組織化といたちごっこ
人間が活動するために
食料があり
車が動くするためにエネルギー源として
ガソリンや軽油がある様に
細胞の活動のためには
ATPという物質が活用されている
アデノシントリフォスフェート
adenosine triphosphate
体内に取り込まれたグルコースは
細胞内で緩やかに分解されるが
この分解の際に生じるエネルギーを利用して
ADPとリン酸からATPを生成する
アデノシンディフォスフェート
Adenosine diphosphate
ATPは
ADPにリン酸が結合した化合物であり
この結合は
高エネルギーリン酸結合である
だから
ATP から ADP とリン酸基に分かれる際には
高エネルギーが放出される
ガソリンエンジンが
ガソリンを前提として設計されているように
様々な生化学反応が
ATPの存在を前提として機能している
また
ガソリンの精製を目的として
石油コンビナートが出来ているように
ATPを合成すべく
光合成においても
グルコース分解においても
酵素群が触媒反応を機能させている
生命も社会と同様に
ある物を利用するばかりではなく
利用されるものを供給することにより
成立しているということだ
そして
需要と供給のウィンウィンの関係が
需要も供給もかさ上げし
バランスを維持しながら
増加のスパイラルを形成している
生産と消費の調和の取れた連帯が
生命現象においても
社会現象においても存在し
より高度な連帯へと
進化しているということだ
連帯は
いたちごっこということだ
自己組織化は
いたちごっこの結晶だ
いたちごっこが盛んになればなるほど
自己組織化は進むのだ
いたちごっこが終焉すれば
自己組織化も崩壊する
鰯の群れを維持している水槽に
サメを入れると
鰯の寿命が延びるという話がある
程よいストレスがある方が
寿命が延びるという教訓話だ
なんとなくただ生きているより
「今日もサメから逃れられた」という
成功実感があった方が
なんとなく人生に潤いがある様に思えるから
鰯にも
充実感が必要なのだ
などと思ったりする
すれば
鰯の人生の目的は
「サメから逃れる」というになる
ただ生きるのではなく
「サメから逃れてこその人生だ」という話だ
サメが鰯を追い
鰯がサメから逃れる
このいたちごっこが
生命の躍動を惹起するのだ
どうでもよいことを
どうでもよいことではなくするいたちごっこを見出すことが
人生を豊かなものにしてくれるのだろう
さまざまな構造は
そんないたちごっこが維持してくれている