ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

局在と遷移:不完全な独我たちの遷移


半透膜で仕切られた内側で
細胞が規定された反応を巡回させているように
不完全な隔壁で守られた内側で
それぞれの独我論がそれぞれの規定を巡回させている


この巡回は
隔壁の不完全性において
外部とわずかに交流し
この交流により
独我論は遷移する


「こうあるべきである
 しかし
 世の中はそうなっていない
 これは何かの間違いだ」


こうした
独我論的思考は
外部を遮断することで
より独善に推移してゆく


言葉や宗教の違い
それに国境などが壁となり
国家の意志も独我論的に
それぞれの独善に傾く


「壁を壊せ」
「壁を壊せ」
「壁を壊せ」


身体の隔壁を壊すと
血がにじむ


これと同様に
独我論的思考は
壁の崩壊に伴い
それぞれに血をにじませる


壁に囲まれ守られて来た「正しさ」が
悲鳴を上げながら立ち尽くす


「なぜ私だけを守らないのだ
 ほかの正しさなど問題ではない
 ただ私の示す正しさを守らねば
 やがて後悔することになるだろう」


蠅と蚊を混ぜ合わせて
より良い虫を創ろうとしても
中途半端試みに終わりかねないだろう


壁を壊し
いたずらにエントロピーを増大させてはならない


それぞれの良さを守るのは
それぞれの壁である


壁は壊さなければならないが
全くもって壊しては
元も子もなくなるだろう


今も
壁が独我的局在を育て上げている

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