言葉の檻
言葉の中に
不条理が息づいていることがある
しばしば
愛と引き換えに
理不尽な要求がなされることがある
愛に包まれた理不尽だ
様々な愛がある
どんな愛であれ
愛が息づいている間は
理不尽な要求も幸せにしているのだけれど
愛が醒めると
理不尽はいきり立ち
魅力と同居していた嫌悪が牙をむく
退屈で落ち着きのある心が
愛という居心地の良い檻の中にいる
ライオンは
窮屈な檻の中から出される時に
狂暴になるという
鉄の檻は強固で無視することはできないけれど
言葉の檻は無視をしようとすれば無視できる
檻を無視さえすれば自由を手できる
この状況において
自由と愛が対峙する
対峙しながらも両立しようと
言葉が重ねられ
言葉の中に不条理が入り込む
そうして
理不尽な自由が
愛の檻の中で息づいている