生命と反応:自由を制御する賞賛
反応が進むには
様々な条件がそろわなければならない
温度や湿度
pHや気圧や浸透圧
反応に必要な材料や
反応を触媒する仕組みも必要になる
こうした様々な条件を整えられた場合にのみ
適切に反応が進むということになると
自然に任せていたのでは
到底適切に進むことが困難である
そこで
反応が首尾よく進むためには
様々な仕掛けを反応のためにそろえて
適切な反応が進む環境を整えなければならない
自然から隔離し
反応の条件を満たした場所を作る
様々な物質の化学反応を制御している化学工場も
様々な生化学反応を制御している細胞も
外部から遮断した環境の中で
特定の反応を実践に導いている
隔離された局在の中で
次から次への反応が起こり
必要なものが取り込まれ
不要物が排出されてゆく
反応が表であれば
反応の条件を整える作業は裏であるが
裏の方が実に奥行きがある
こうした厚みを積み重ねる過程が
進化の過程であろう
そして進化が進むにつれ
反応はより制限されたものになり
より効率的に行われるようになる
自然状態では
たまたま起こるようなことが
次から次へと実践されるのである
業務のマニュアル化が進み
同じような顔をした店員が
同じような対応をしてくれる
自然状態ではない
サーカスの動物たちも
自然の中にいるようではない
その秩序だった行動に
賞賛が贈られる
こうした秩序だった行動の裏には
厚みのある積み重ねがあるのだろう
様々な言葉が
行動を裏打ちし
自然状態から
品行方正で文化的な状態へと引き上げてくれている
回れ右
きをつけ
休め
言葉は行動の触媒であり
自由からの制御である