ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

組織と個人:智慧もハサミも「つかいよう」


良かれと思ってしたことが
裏目に出てしまうことがある


智慧もハサミも「つかいよう」ということである


酒好きの知人に
お礼にお酒を送ったら
ちょうど禁酒をしている時であったりすることもある


貰った方とすれば
我慢してお酒を断とうとしているところに
目の前に酒が来るのだから
我慢の上にもう一つ我慢を重ねることになる


酒を贈るということが
世間的には「善」とされているので
「ありがとう」と笑顔で返さなければならないのである


核分裂のエネルギー利用も「つかいよう」である


制御できずにメルトダウンを起こせば
それこそ大惨事になるし
そもそも
原子爆弾などにいたっては
その存在自体が
大き過ぎる「善」であると同時に
大き過ぎる「悪」である


ある意味
全てを象徴するような力である


こうした力があるからなのだろう
映画「猿の惑星」で
核兵器は神として崇められていた


いずれにしても
こういった
「つかいよう」の智慧の
その「つかいよう」の成否を判定するのは
その結果を見届ける者の
「好き」「嫌い」ということになる


内燃機関が発達し
霧の都ロンドンは
スモックに覆われた


このスモックは嫌なので
スモックが発生しにくい内燃機関が発達してきた


知は
感情により淘汰選択されて来た


このことは
知が地上を征服するには
知が感情を制御する必要があることを意味している


歓喜や恐怖を利用して感情を制御は
知による
感情の威を借りた感情の制御である


感情を押しつぶさず
むしろ感情を高揚させる手法ということが出来よう


この手法にとどまる限り
馬鹿やハサミ同様に
知は「つかいよう」ということになる


その「つかいよう」により
上手い下手が感情により評定される存在ということである

組織と個人:足らざるをも愛するということ


外は
雪交じりの強風である


遠くは
白くかすんでいる


こんな天気の中で
高気密住宅の部屋の中で
ぬくぬくと過ごしていると
文明のありがたさが身に染みる


野生の猿や鹿は
今頃どこで寒さを耐えているだろう


この様に
人智の恩恵に浴しているには
むろん
認知の恩恵に報いなければならない


ここに
社会への感謝が生まれ
組織への従属を果たし
拝金へと傾倒する私が生まれる


大自然の中に放り出されたくないのである


電気や水道
お金を出せば買える様々な食料品は
私の手足のように欠かせないものである


この手足を失えば
どうやって生きてゆくのか
私は途方に暮れることになるだろう


私は
私は私の手足を求め続けるように
私の属する文明を求め続ける


求め続け
私が私の手足と連なる様に
私と文明が連なってゆく


そして
私が私の手足を気遣うように
私は私の文明を気遣い
ひいきをするようになってゆく


愛してゆくのである


その欠点をも受け入れ
それが仮に他の文明であったら
あからさまに非難するようなものでも
口をつぐみ
擁護さえするのである


私が
私自身の欠点を受け入れもらえるように
私の文明の欠点をも受け入れるのである


生きてゆく伴侶とは
そういうものなのだろう


完璧ではなくてよい
生きてゆくことが大事なことである

組織と個人:都市や街は人智の住処である


「好き」「嫌い」だけでやってゆければ良いのだけれど
「嫌い」を避けるために知恵を働かせると
その結末に「良い」「悪い」が現れる


たとえば
雨に濡れるのは「嫌」なので
傘をさす
傘をさし濡れなければよい傘で
濡れてしまえば悪い傘ということになる


だから
穴の開いていない傘は「良い」傘で
穴が開いたり骨が出てしまっている傘は
「悪い」傘である


こうして
知恵とその実践成果が「良い」「悪い」を生み
この積み重ねにより
「善」なるもの
「悪」なるものが顕われてくる


そして
「善」なる傘をさし
「悪」を掃除しながら
日常を送るようになると
知恵者の生活が出来上がる


人類は困難な時代を潜り抜けながら
「好き」「嫌い」だけの野蛮な生活から
知恵の集積した「善」「悪」のメリハリのある
知恵のある生活に変わってきたのである


こうして
空から見る都会の景色から
緑が消え
知が行き届いたコンクリートやアスファルトで
地面が覆われるようになってきた


この味気無さに
都会を離れ
野山に出て
「好き」「嫌い」を味わいたくなる


「善」「悪」に飼いならされた「好き」「嫌い」ではなく
純粋な「好き」「嫌い」に会いにゆきたくなのである


そこでは
純粋な自然の恵と禍が待っている


この恵と禍に
人智を介して接するのではなく
直に接してみたいのである


実際にやるとなると
きっと私は
すぐに懲りて引き返すことになるのだろう


あの冷たいアスファルトやコンクリートのやさしさが
すぐに恋しくなるのだろう