ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

予定と実践:誘導による予定の実践


脊椎動物の受精卵は
細胞分裂を繰り返し
やがて
植物極から原腸が陥入し
陥入した側とは反対側の動物極に
神経板
原索
脊索の形成が誘導されて形成されてくる


その後
陥入した原腸は
やがて様々な内蔵へと分化してゆき
誘導された脊索からは
様々な神経が分化し
これらの神経が
手足や指や目の形成を誘導し
まあるい小さな卵から
動物らしい形態が現れてくる


このように
多細胞生物の発生現象は
総じて
誘導され形成された器官が別の器官を誘導しながら
進んでゆく


誘導を受けた細胞は
誘導に応じて
予定されていた機能を発揮するのだ


これが細胞の分化だ


様々な予定が細胞内に内在していて
誘導に従い
たくさんの予定のうち
いづれかの予定を実践に移す


細胞分化は予定の確定とその実践だ


正しい細胞分化の道筋に従い
誘導と細胞分化が進めば
標準的な個体が発生してくるのだけれど
予定通りに細胞分化が進まなければ
発生は途中で止まり
新たな命として生まれてくることができない


この意味では
奇形として生まれてくる生命は
ほんの少しの異常にとどまっており
発生を継続できる能力が備わった個体で
標準的な個体として生まれてくる生命は
それこそ素晴らしい能力を備えた個体ということができる


正しく
予定されていることを実践に移すことが
生命の根幹である


この根幹は
生まれてからも続いているのだろう


だから
予定通りに実践することができないと
くよくよしたり
怒り
悲しみ
誰かや
自分を責め
予定通りに実践できなかった原因を反省したりする


さまざまな感情が
予定通りに物事が進むように
誘導してくれているのだ


良い悪いの区別を
論理的に判断するばかりではなく
感情的に判断したくなる


いくら冷静でいようとしても
予定通りに物事が進まないと
腹の底から湧き上がるような感情を
抑えきれず
正しくとも正しくなくとも
思わず
大声で泣いたり
大声で叫んだりしてしまうことがある


そんな時には
初期の発生の頃と同じように
原腸から
何かが誘導され
感情が大きく揺り動かされているのだろうと
なんとなく思ってみたりする


むろん
そのように思うのは
感情に揺さぶられているまさにその時ではなく
揺さぶられ疲れ果て
穏やかになってからのことで
あの時のいつもとは違う自分は
あの冷静さを失った異常事態は
原腸の仕業だったのだと思い返すのだ

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