遷移の断面にて
私が演出している「私らしさ」というものがある
私が演出しているにもかかわらず
この「私らしさ」が窮屈な時がある
過去に私が世間に約束したことを
すべて守らなければならないとすると
それだけで
きっと私は精一杯になって
息もできないくらいになってしまう
だから
新しく「私らしさ」を描きながら
古い「私らしさ」を忘れてゆく
「私らしさ」は
私の本質ではなく
移り行くものらしい
しかし
その変わりゆくものの断面を
本質としなければならないこともあるのだろう
今しか存在していない現実がある
思考の中には
過去も未来もあるけれど
現実は
今ここで動いているだけであり
過去も未来も存在していない
この動きの断面の中に
描かれた「私らしさ」は
この断面における唯一無二の「私らしさ」であり
私の本質と言うより仕方がない
過去や未来への思いを断ち切る虚勢が必要だ