言葉による支配
戦争していた時
赤紙一枚で
生活者は兵隊に変わっていった
言葉が
人を命じるのか
人が
人を命じているのか
社会が
人を命じているのか
言葉を知らなければ
生活者は兵隊にならずに済むのだろうか?
紙切れ一枚で
住み慣れた場所を立ち退かなければならない時もあるようだ
立ち退き補償があればまだいい
災害なら諦めようもあるかもしれない
ただ
紙切れの命令で
保証もなしに
土地を明け渡さなければならないとしたら
哀しいことだ
ただそれは
戦争のころの赤紙よりもましなのかもしれない
言葉を知らなけれぼ
命令を聞かなくてもよいのだろうか?
*
聞かなければならない重い言葉があり
聞かなくてもよい軽い言葉があり
従いたくない言葉があり
従ってもよい言葉があり
ぜひとも従わせたい言葉があり
従わなくてもかまわない言葉がある
他人に右往左往させられているのか
言葉に右往左往させられているのか
*
陽が昇り
鳥が鳴き
木々の緑が風になびく
言葉のない世界で
時がゆったりと佇んでいる
*
嵐が襲うこともある
無視が大発生することがある
自然は時に牙をむく
言葉も大量に
吹き曝し
嵐を巻き起こす
雨戸を閉め
弱い部分を補強をするように
芽や耳や口をふさぐ力が
時に必要だ