エントロピーは減少してゆく

言い換えれば
複雑さは消滅し
均一化が進んでゆく

具体例としては
水を張ったビーカーに
一滴のインクを落とすと
はじめ
複雑な模様を描くが
やがて
均一な薄いインクの色に水は染まる

地球や太陽のような塊が
宇宙空間に浮いているのは
インクが水の中で均一に溶けてゆく過程の
一場面ということになる

重力がなければ
地球も太陽も塊ではいられないだろうし
運動に慣性が働かなければ
地球が太陽を周回する公転軌道も
どうなるものかわからない

エントロピーが減少してゆく過程において
様々な均一化に抗する力が働き
それが法則として表現される
これらの法則が
エントロピー減少過程で
さまざまな蓋然的制約をもたらしている

太陽や地球の公転ばかりではなく
水素が水素のままでいる
炭素が炭素のままでいる
金は金のままでいる
こんなごく当たり前の保存的現象にも
さまざまな蓋然的制御が働いる

量子力学は
このような制御の仕組みを記載し続けている

動いている世界の中で
変わらないということが
なんらかなの制御が働いている傍証であり
その制御を求めて研究をする動機となる

生命も変わらぬよう制御されている
太陽や地球や元素が制御されるよりも
もっと複雑な方法で制御されている

この制御の檻から外れると
生命は生命でなく物質になる

個の檻の中の世界が
セカンドワールドだ