記憶と実践:PDサイクルとPDCAサイクル
記憶は実践ではない
これは
計画は実行ではない
というのと相似している
PDCAサークルというのがある
plan do check action を循環しながら改善を進めるという
計画 実行 観察 改善
結果を実行者自身が評価するということで
計画を練り直し自律的に改善を進める循環となっている
これに対して
生命の自然選択は
計画と実行は自律的であるが
結果の評価を外部である自然に任せているという点で
PDCAサイクルとは異なっている
自然選択には自律的改善がないので
PDサイクルと言えるかもしれない
単純に計画とその実行を繰り返す循環が生命であり
自ら改善をしようとする革新性が欠けているのが
生命ということになる
生命の記憶に比し
人智には
結果を評価し
計画を改善するという機能が追加されている
ということになる
ここに理性の素晴らしさがある
一向に変えることのできない感情は
自然選択の中で進化してきた融通の利かない実践で
あるのに対して
理性はうまくいかないとみると
自ら変えることが出来る実践なのである
車はここ数世紀で爆発的に進化したが
人間の感情は一向に進化していない
戦略兵器の真価は日進月歩であるが
人間の味覚は一向に変わらない
このような性向から考えるに
感情は保守的で
理性は革新的である
ここに理性の素晴らしさがある
そして
場当たり的な薄さがある
感情は変わらぬままに
理性の産物は次々とその姿を変えてゆくのである
モードを生み
時代を豹変させるのも理性である
何を拠り所にして生きるべきなのか思案するについて
この理性の薄っぺらさも考慮に入れる必要もあるのだろう
変わり身の素早さを
うまく利用しない手もないということなのだろう
智を愛するということには
そうした側面がこびりついている