化学反応であろうが
反射の様は反応でも
条件反射や思考を経た反応でも
反応には動きがあるから
時間の経過を伴う

だから
定型的な反応が開始すると
その反応の終結する未来が約束される

無論
反応が
途中で何かに邪魔されたり
支障があって止まってしまえば
約束された未来は訪れないが
こういった不測の事態がなければ
反応により
約束した未来が引き寄せられてくる

このような反応を中心に据えて思考すると
定言命法の実践は
約束された未来をもたらす反応であり
法律は
未来の予測可能性を高める反応体系ということになる

こういった形で
未来をもたらす反応により維持されている世界において
定言命法や法律が守られないと
約束された未来が遠ざかり
世界に軋みが生じてしまう

人間は
未来の夢や目標に魅かれる生き物だ

大それた夢でなくても
「お腹がすいたから何か食べたい」
「もよおしてきたからトイレに入りたい」といった
近未来に引導を渡しながら生きている

過去に惹かれ
懐かしく振り返ることもできるが
この場合においてすら
「あの頃に戻りたい」などと
未来に向かう思考に
ついつい引き込まれてしまったりする

人間の思考は
未来を創造し続けている

このような思考が
反応として未来を創造してゆく

ひとつの反応は
ほんのわずかに先の未来を引き寄せるものであるかもしれないし
連綿と続く遠い未来を引き寄せる一つの鎖かもしれない

生命は
このような反応の連鎖により
維持されている約束された未来の連続体だ

同じ未来を導く反応は
その未来を効率的に引き寄せ
違う未来を導く反応は
それぞれが描く未来を遠ざけたりする

自由な反応は
ある未来を焦点にして思考すれば
未来を引き寄せたり
未来を遠ざけたりする
不測の反応となる

反応の良否は
未来により判断される

だから
ある反応により
その反応が有用な未来を創造できればできるほど
その反応は有用な反応として記録され
自然淘汰から逃れ生きながらえる反応として
進化を続けてゆくことになる

次に続かない反応は
淘汰され
記録されず
あるいは悪しきこととして記録され
未来を導く反応の世界から消えてゆく