ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

ひとりきりの遠足と集団への回帰


人間も
野山で暮らせたら
お金など要らない


世界中に経済が広がって
もはや野山では暮らせない人間たちが
次から次へと増えてきた


豊かさが広がった


人に頼りながら生きてゆく
その強みと弱さを
経済発展とともに
人類は喜び勇んで育ててきた


もう引き返さないのかもしれない


お金で買った
おにぎりと
お茶を
リックに詰めて
山の小道をひとりで登る
そして
開けた場所をひとりで陣取り
自然の中でお昼を食べる


「ああ、やはり自然の中はいい」
「ひとりはいい」


忘れていた何かを思い出したかのように
そう呟いて
また
街の中へと帰路に就く


「年金がないと生きてゆけない」
そう
誰かが言っていた


確かにそうなのだろう


「年金制度のなかった時代にも人類は生きていた」


そんなことは
時代錯誤の屁理屈にすぎないと
誰かが言った


「年金がないと生きてゆけない」


これが
現代の
神の啓示であり
仏の導きなのだろう

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