ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

衝動が湧いてくるということ


例えば
立ち続けていると
横になりたくなり
ずっと寝そべっていると
起き上がって出歩きたくなる


このような衝動がなくなれば
私は
このままずっと
ここで動かずにいられるだろうか?


そうだとすれば
このような衝動が
現れてこないようにするには
どこに
どんな
蓋をすればよいだろう


そんな便利な蓋があって
お腹が空いたとか
おトイレに行きたいとか
痛いとか
痒いとか
苦しいとか
その他もろもろの衝動を抑えてくれれば
ここにじっとしてられるだろうか


病院には様々な人がいる


肺気腫を患う人が
奴隷の足をつなぐ重りのような酸素ボンベを
滑車に乗せてどこかへ歩いて行く


原因のわからない不安に襲われ
叫び声を出し続ける人がいる


生きてゆくことは
良いことばかりではならしい


様々な衝動が生きるために沸き上がり
その衝動を邪魔する幾多の困難が現れる


そして
生命は
どんな困難も乗り越えようと右往左往を繰り返す


この右往左往が非常に面倒で
辛いことでもあるから始末が悪い


そこで
右往左往を避けるには
あらゆる衝動を押さえ込めてしまう
便利な蓋がほしくなる


そんな蓋をして
衝動を抑え込んでしまえたならば
私も樹木を離れた木の葉のように
かあるくなって
空の上へと
風にのって行くのだろうか


病室の窓には
青々とした空に
まだ青々とした樹々の緑が揺れている

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