ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

能動的反応:人生と鎮魂歌


子供のころ
思うようにならないのは
自分が子供だからで
自分も大人になったなら
思うようになると感じていた


大人は
不平を言わず
何でもわかっているかのように振舞っていたからだ


でも
大人になって
大人になっても思うようにならないものだいうことが分かった


大人が
不平を言わず
何でもわかっているかのように振舞うのは
思うようにいかないことに慣れているだけで
子供のように
大人げのない夢を見ない振りをしているだけだ
それから
子供のように
内側から湧き上がる思いに素直に従わず
外側に漂う空気を読み
それに素直に従おうとしているだけだ


外側に漂う空気に従わないと
「そんな子供のようでどうする」と叱られてしまう
大人はそれをわきまえているのだ


だから
子供が外側の空気に従わずにグズグズしていると
立派な大人に育つようにと
大人は子供を叱ってみせる


それが教育だ


民主国家に生まれれば
民主国家の空気に従うように教育され
独裁国家に生まれれば
独裁国家の空気に従うように教育され
宗教国家に生まれれば
宗教国家の空気に従うように教育されて
子供が大人に育ってゆく


そう
どんな国に生まれても
内側から湧き上がる思いは
なんだかんだと鎮められおとなしくなるように仕向けられ
子供は大人に成長してゆく


それでも
鎮められたはずの思いはおとなしくなりきれず
腰が曲がるくらいに年老いても
「何事も思い通りにならないなあ」と
嘆きながらも笑って見せることになる


本音が嘆き
建前がほくそ笑む


本当は
それほどうれしくないことを
うれしい顔をしながら
時間を見送り
歳を重ねる


そうして出来上がってきた老いの心に
寂しく味わいのある鎮魂歌が共鳴する

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