生命と反応:思考することの背後世界にある醍醐味
鼻輪に結わえられた紐をぐいっと曳く
すると
600キロもあろう巨体が
素直に引かれるがままについてくる
鼻輪を思い切り曳かれれば
さしもの牛も痛かろう
心なしか
しぶしぶとついてくる
呪文を唱えるお師匠さんに従う孫悟空の様だ
痛いのは嫌だ
痛いのは嫌だ
やはり
痛いのは嫌なのだろう
「どう振舞えば痛くなかろう」と
様々な思考を巡らせ
悩みながら
牛も
とぼとぼ歩いているだろう
「どうすれば
思うように動くのだろう」と
様々に思考を巡らせ
悩みながら
人も
とぼとぼ歩いているのだろう
「痛い」「痛い」「痛い」
ああ神よ
誰が
この痛みや
こんな仕組みを創ったのだ
痛いのは嫌だ
痛いのは嫌だ
やはり
痛いのは嫌なのだろう
そう思いながらも
鼻輪に結わえられた紐をぐいっと曳く