ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

生命と反応:「悪い子はどこだ」「ここだ。ここにいる」


何処の国にも
悪い子がいるらしい


そんな悪い子供に
この世のものならぬ恐ろしい化け物がやってきて
襲い
脅し
良い子になる様にしむけてゆく


子供たちは
そんな恐ろしい化け物から逃れたくて
泣き叫び
そして
良い子になってゆく


良い子になると
恐ろしい化け物は
その恐ろしさを次第に消してゆき
化け物が現れても
子供たちは泣くことも
大声で叫ぶこともなくなってゆく


化け物になれるのだ


そのかわりに
子供たちが良い子になるたびに
子供たちにも
泣きたいことや
大声で叫びたいことが増えてゆく


化け物が
泣くことも
大声で叫ぶことも許さないまま
泣きたいことや
大声で叫びたいことを増やしてゆく


そうして
子供たちの中に
社会の構造が染みついてゆき
面の皮が厚くなり
やがて
立派な大人になってゆく


大人になってわかったのだが
大人も子供とそう変わるものではない


厚い面の皮の内側で
悪い子が
相変わらず
厚い面の皮の間隙を縫って
何か悪だくみを企んでは
うずうずと目を輝からせる


私は
こうした何もできずに
うずうずと目を輝かせうずくまっている
内弁慶な悪い子たちを
憎めずに
愛し
だましだまし
日々を過ごしている


そんなある日
日が暮れたあと
暗闇の奥底から悪い子たちが一斉に現れて
騒ぎ出した


そんな悪い子たちに
「お前の方が悪い子だ」といじめられ
私は
独り隠れ泣け叫んでいた


何とつまらないことなのだろう


つまらないながらも
悪い子たちと縁を切れないものだから仕方がない


泣き叫び暮らしてゆくのも
諦めるより仕方がない

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