生命と反応:反応する仕掛けに内在する計画
ティンバーゲン博士が
イトヨの行動から
刺激とその反応の連鎖を抽出した
定型的行動が
刺激により惹起されるが
この刺激が来るまでは
定型行動は隠し持たれた状態にある
定型的行動は
刺激により
潜在から顕在に移行すると言う訳だ
定型的行動が
潜在しているという状態は
計画はあるが実行されていない状態だ
このような潜在的計画が
イトヨの中にたくさん詰まっていて
それが
刺激に応じて
次から次へと現れてくることを
ティンバーゲン博士が指摘した
生命の中には
計画がたくさん埋め込まれているということである
山中伸弥博士のiPS細胞の中にも
たくさんの計画が埋め込まれており
iPS細胞には
様々な臓器として
その計画を実践する能力が
備わっている
でき得ることは
すでに埋め込まれているのであり
あとは
その内の何を選択し
どう組み合わせてゆくかということになる
語り得ぬものに対して
沈黙しなければならないように
為し得ぬことに対しては
無作為でなければならない
辞書の中に
たくさんの言葉があり
その言葉たちが
それぞれの意味に変得られる潜在を有している
字面が意味に変換される計画が潜在している
それが
人の目に触れ顕在化する時
その言葉は生きているということになるのだが
人の目に触れていも
意味が生じないと
その言葉は死んでいるということになる
計画が
反応の仕掛けの中で維持され
顕在化する時を待ち続けている
この待ち続けている間
計画は存在し続け
時間を超えてゆく
忘れられた言葉のように
仕掛けが壊れると
計画も消滅するけれど
仕掛けが存続する限り
計画は消滅することがない
何年も前に実った種から
芽が出て
根を伸ばし
葉を拡げ
花が咲く
種には
計画が保持されていた
語り得ぬものに対して
沈黙しなければならないように
為し得ぬことに対しては
無作為でなければならない
為し得ることに対しては
作為しなければならない時を待つ
この待つという状態の連鎖により
反応の仕掛けにたくされた計画が
過去から未来へと運ばれる