ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

生命と反応:楼閣に棲む資格としての能力


私が生まれた時には
すでに
言葉の楼閣がそびえ立っていたらしい


私は生まれ時
オギャーと叫び
この楼閣の住人にさせられたのだ


フンギャーとか
ウォングアーとかと叫べば
もしかした
違う楼閣の住人にさせられたのかもしれない


私は
オギャーの楼閣に入れたようだ


そして
いつしか
猫はニャーと鳴き
犬はワンと鳴くことを覚えた


この楼閣で暮らしていると
耳には
この楼閣の掟が刷り込まれ
掟に従わない音は聞き取りにくなり
口や喉にも
この楼閣の掟が刷り込まれ
掟に従わない音を発音しにくくなる


だから
私には
小鳥たちの会話がわからない
ゆえに
小鳥たちの作る言葉の楼閣には入れない
ましてや
小鳥たちの作る言葉の楼閣を
守り育てることはできない


私は生まれ落ちたこの楼閣に入り
この楼閣を守り育てている


オギャーと叫び
ニャーと鳴き
ワンと鳴くこの言葉の楼閣で
ヘビをヘビと呼び
「あっちへ行け」と声をかけたりする


首尾よくヘビが逃げてゆけばよいけれど
ヘビが逃げずに道の真ん中で寝そべっていれば
言葉を理解しないヘビを無能呼ばわりし
言葉の無能を擁護する


言葉の楼閣に棲む者には
言葉を理解しない者はみな無能な者だ


理解する者は有能で
理解しない者は無能である


私には
小鳥の言葉がわからない


小鳥からすれば
私は無能なヘビの様な存在だ


小鳥たちに
チュンチュンと小馬鹿にされてたとしても
かわいらしい小鳥の声に
微笑み返す

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