私の身体は
沢山の細胞の寄り合い所帯だ

細胞たちが
右往左往しながら
助け合い
身体が維持されている

私を統合している細胞たちは
本当に仲が良い
時には
喧嘩もするのだろうが
すぐに仲裁が現れて
また元のように
助け合い
維持し合い
私が維持されているのだろう

私を統合している細胞たちは
本当に仲が良い
私の細胞たちは
よく意思疎通しあっている
お互いによくわかりあっているのだろう
まあ
クローンなのだから
当然といえば当然なのだろう

私を統合する細胞たちは
まったく同じプロトコールを
意思疎通のために使っている
送る側と
送られる側で
きっちり呼応したプロトコールを
みなが同じように持ち合っている

ありがたいことだ
私にとってありがたいことだ
もしかしたら
細胞は
もっと自由になりたいのかもしれない

＊

種内の個体は
不完全ではあるけれどクローンだ
同じ遺伝子プールから派生したクローン生命だ

だから
種内でプロトコールを共有でき
意思疎通がし合えている

＊

同じ言葉を持つ人間は
クローン言語でつながっている

同じ思想をもつ人間は
クローン思想でつながっている

クローンなプロトコールが
予定調和を導き
個を集団に結び付けている

ただ不完全な部分もあってか
予定調和が乱れてしまう時がある

＊

鰯の群れが
一斉に鱗を輝かせては
方向転換してゆく
一匹一匹の距離を保ちながら
皆同じ方向へと進んでゆく

鰯には
能動的に相互作用するプロトコールがあるのだろう
そのプロトコールを
群れ全体で共有し
群れで回遊できている

＊

セミクローンなプロトコールが
能動的相互作用を通じて
様々な秩序を形成している

その秩序の中で
不完全なセミクローンを
完全なるクローンにしようと排除が生まれる

個は
どこまで集団の礎であり
どこまで独立したプロトコールであるのだろう

時と場合のリテラシーが
プロトコールの様々な側面を醸し出す