ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

一なるものを欲すものに対して二なるものを付するシステム


子供のころ
お金とは無縁の生活に憧れた
自然の中で暮らす生き物のように
お金とは無縁の生活をしたいと思った
ところが
おこづかいが無性に欲しかった
お年玉ならなおさらだ


もういくつ寝ると
お年玉


今も同じだ


お金に媚びたくないと思いながら媚びている


大きな魅力と
大きな危険が
同居しているものがたくさんある
ルアーのような仕掛けが
自由な意思とは裏腹な
別の意思を醸し出す


大きな魅力
大きな危険
二律同梱


箱を開けるのならば
どちらも受け取らなければ
ルール違反だ


人間にお金がつきまとう
本能がお金を欲しがるのだ
理屈のない本能が
理屈をつけてはお金を欲しがる


お金で動かない人は操りにくい


そのような人には
理性を鍛えてあげなければならない


理性は欲を助長する優れた術であるからである

情報がもたらす同質化と揺らぎ



情報は
それを実践するものを同質化する


異なる情報を実践すれば
異質なものとなる


カエルの子はカエルであり
ナマズの子はナマズである


人はとかく
情報を支配しているのだと考えやすい
でも本当はどうであろう


情報の流れの中に自我が浮いているかのようだ
その流れの中で実践に供する情報を探している


誘因となる刺激が反応をもたらし
その反応が誘因たる刺激となり次の反応をもたらす
そんな連鎖反応のなかでうごめく情報の流れの中で
自我が実践すべき情報を待ちわびる


自我が情報を釣るのか
情報が自我を釣るのかわからぬままに
自我は実践を繰り返す


その情報はどこから来たのか
その情報は何ものか
その情報はどこへ行くのか


古から伝わる情報が
人々の意識を伝播しながら未来に向かう


同質化した安堵の群れのなかで
異質化する危険と利益が揺れ動く


醜いアヒルの子は
なぜ醜いと
形容されなければならなかったのか?


日常の裏側に潜み隠されている
憧れ


見上げれば
ぼんやりと空に浮かんでいるようだ

言葉が醸しだす予想された未来


言葉の通り動く人が
たくさんたくさんいてくれるから
言葉の信用が上がり
言葉に未来を託せるようになる


だから
言葉の通りに動かない人がいると
事件にして騒ぎ立てる
あるいは
わがままと非難して
むりやり言葉を押し付ける


このようなシステムの中で
言葉と自由意志が
時に争うことになる


言葉の作る通り道をはずれて
道草を食い
浮雲を眺めて
居眠りしたくなる


言葉を捨てて叫んでみても
言葉が意思を追い詰める
予測可能性の高い世界に生きろと
言葉が誘う


未来を予測できるということは
それだけでありがたいことなのだ
未来を備え待つことができる
素晴らしい未来を先取りするのだ


そのために
言葉に従えと言葉がささやく


しかたなく
あらがえない波にまた流されてみる
うまく乗れもしない波に
また乗ってみる
ぼんやりとした明日を眺めながら