正解のないことに正しさを付与する
支配者というものは
横柄なところがないと務まらない
正解のないことを
正解にし続けなければならないからだ
この正解を大切に維持するために
些細な間違いを認め
この些細な部分を修正することはあるだろう
しかし
大きな部分を曲げてまで
小さな正解を維持することは無いだろう
様々な正解を主張する猛者が
正解を流布し合い
ときに
腕力を振るい合う紛争に至る
支配している正解に抗議して
デモ行進が行われる
*
私は
私の支配下にあるものに対して
横柄になれる
たとえば
私が所有している本をどこにしまうのか
わたしにとっては何でもないが
その本にとっては一大事であるを
私は何の気なしに決めている
このような気ままな決定の積み重ねにより
本棚に、ぼんやりとした秩序が顕れる
すると
この秩序に支配されながら
私は
次の本を置く場所を決めてゆくことになり
秩序は
少しづつ鮮明さを顕してゆく
*
人や
物が動き流れている
この流れが秩序を産み
さらなる流れを誘導している
支配者は
これらの流れを微妙に調整している
流れが滞り
秩序が崩壊しかかる時に
次の時代を育む正解を引っ提げて現れる
偉大な指導者を待ち望むことになるのだろう
大それたことかもしれないし
些細ななことなのかもしれない
ただ
地震で本棚から零れ落ちた本を
腐らずに
恨まずに
既存の枠にとらわれずに
黙々と片付ける根気強さが
偉大な指導者に求めることになる