能動的反応:実存と実在の役割
実存には
未来を導く力があり
実在には
地に足をつける力がある
だから
実存に偏れば
前のめりになり転んでしまうリスクがあり
実在に偏れば
地面に足が吸い付いてしまい
前に進めなくなるリスクが生まれる
*
人間は
同じような体を持ち合わせ
同じような感覚を持ち合わせているから
同じような夢を語り合うことができる
同じような現実把握は
同じような不足を認識させ
それを克服するようになる夢を
語り合うことを可能にしている
物欲についても
同じ夢はを見るようになる
描いている夢を実現させるような存在に出会うと
それが欲しくなり
そして実際にそれを所有すると
所有していることを他者に誇ったりする
電話や
車や
ワクチン
核兵器などなど
夢のような存在が実現すると
とたんに
それらを競争するように所有しあう
人間が欲しいものを開発するのだから
開発される前から欲しかったに違いなく
何か素晴らしいものが開発されると
運命めいた出会いを感じ
「私のために存在している」
といった妄想に陥り
どうしても手に入れたくなる
*
人間には
夢がある
「醜いアヒルの子」の物語で例えれば
まだまだ人間は醜いサルの子だ
まだまだ私は醜いサルの子だ
そう思いながら
これからもっともっと素敵な運命がくると信じている
そんな人間の中の実存が
地球という実在を
もっともっと住みよい場所に変えたいと願っている
実存は素晴らしいものであっても
実在させるとなると
副作用も実在することになる
素晴らしい未来ばかりが実在ではない
SDGsの活動が世界的に広がっている
持続したいという実存も
人間の中にたくさん埋もれているから
人間はあまり無茶もできないようにできているらしい
実在は争いようもなく
あるがままに存在しているけれど
実存は様々な矛盾をはらみながらも
夢として併存できている
しっかり未来をシュミレーションして
矛盾なく実存できる未来を迎えられれば良いけれど
考えてばかりでは
実在に吸い付いて前に進めなくなってしまうから
エイヤーと
信じる道を進むことになる
そして
やがて
結果が後からついてくる
生命は
淘汰選択の対象だ
実在の世界において
矛盾が露呈して
取捨選択がなされることになる
*
実在は結果であり
実存は仮定だ
生命は実存の権化であり
いつだって
仮定を検証する過程にある
要は
色々考えるけれど
考えがまとまらないうちに
時が過ぎ
手や足が動くようになっている
確たる約束がないうちに
生命は
生まれ落ちてきたのだろう
だから
見えぬ未来に向かい何を実践し
その結果に右往左往し続ける
この右往左往を愉しむ存在が
生き残ってきたし
これからも生き残ってゆくのだろう