食材は
すべからく
生きていた存在だ

死んでしまうと
腐食や乾燥から防護してもらわなければならないから
食材は新鮮に保たれるように様々な工夫が施されている

逆に言えば
生きている時は
腐食や乾燥から身を守る工夫を
自分自身でしている

腐食菌が侵入しないように工夫したり
侵入したらそれと戦いやっつけたり
乾燥しないように
水の蒸発を防いだり
水を吸収したりと忙しい

生命活動は
腐食や乾燥から身を守る活動でもある

このような活動をつつけるために
生まれてきたのであり
このような活動をできるから
生き続けられるのであり
このような活動をするために
様々な機能が循環している

そのことを由として
同じ活動を繰り返している

繰り返すために
繰り返しているのだ

現象が時間の中で存続するということは
現象が繰り返されている状態だ

存続を由として
現象が繰り返され循環している

大気の中の水の循環といった
非生物学的な物質の循環に比べ
生体内の生物学的な物質循環は
精密かつ高濃度である

物質が
その反応とともに
様々が減少を連鎖させながら循環している

このような循環を維持する為に
自らを循環させ続ける力が生命力だ

循環することが目的であり手段である

この目的と手段を実現すべく
様々な機能が取捨選択され
様々な生命が進化してきた

循環を止めてはならないという
自己肯定感が
それぞれの生命の循環の渦に巻きついているかのようだ

このような循環をつなぎとめるものが愛なのだろう

たとえば
小腸と肝臓は愛し合っている

たとえば
DNAとRNAは愛し合っている

無論
免疫細胞と意識も愛し合っている

こんな無意識の愛が
個体を個体として維持する循環を造り出している

個々の生命が織りなす社会も
愛が
循環を維持し続けている

個々の身体の中で循環しながら互恵する愛
様々な社会の中で循環しながら互恵する愛

様々な愛がうごめき
それぞれの渦を維持しようと懸命に動き続けている