ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

触媒と必然:触媒が決めている事々


心の中に
悲しみを醸し出す触媒があるらしい


喜びを醸し出す触媒も
また
あるようだ


どんな時に
どんな感情が現れるか
初めから
触媒が決めていた


それに乗っかって
私が右往左往と思考を繰り返す


私にとって
感情は
吹いてはまた吹き止む風のようだ


風にさらされて
風に立ち向かい
風に流され
私も流れる風となる


おいしいも
まずいも
私には決定権がないらしい


妻が好きで
私な嫌いなニンジンが
私にもおいしくなれば
妻のご機嫌も
もう少しよくなるだろう


しかし
私には決定権がないらしい


だから
私は私の決定権のある所で
妻と折り合いをつけてゆく


「ニンジンはおいしい」
この妻にある形而上を壊す方法を
次から次へと私は思い返すのだが
それを懐にしまい込みながら
小出しにする


お陰で
ニンジンを妻は小さく切る様になってきた
そして
長々と煮込み野菜の臭みを
なるべく抜くようにしてくれるようになってきた


それでも
私はニンジンをうまいとは思わない


我慢して食べる


妻も
もっと大きな青臭いニンジンを食べたいのだろう


なぜそこまでして
ニンジンを食べるのだろう?


風は一つではない


様々な風が交じり合っては
私に吹き付ける


時に雨交じりの風が
時に火の光をもとった風が
私を吹き抜ける


先程食べたニンジンも
私のどこかで
私を吹き抜けている


そして
私に
何かを届けてくれている


私には決定権がない領域で
私に何かを届けている

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