ネジは
本棚の部品になることもあるが
車の部品にもなる

本棚のネジは
本棚という世界の中に存在する世界内存在であり
車のネジもまた
車という社会の中に存在する世界内存在である

私という存在も
家庭の中に存在する世界内存在であり
社会の中に存在する世界内存在である

使用する言語世界の中に存在する世界内存在でもある

ネジは
設計図という記録により
本棚に所属したり
車に所属したりしている

私は
私の記憶により
家庭に存在したり
社会に存在したり
会社に存在したり
言語世界に参加したりしている

貨幣経済にも参加している

記憶や記録により統合された世界のなかで
世界内存在が
それぞれの機能を果たし
その機能により
世界が維持されている

こうした
世界と世界内存在を結ぶ循環により
世界が維持され
その結び目として
記憶や記録が機能している

こうした記憶や記録がなければ
エントロピーは増加し
世界内存在は
世界からはみ出て存在し
世界も崩壊してゆくことになるのだろう

記憶や記録が
エントロピー現象に寄与しているということだ

設計図から見捨てられた部品は
本棚や車として活躍することなく
どこかに捨てられさびてしまったり
溶かされ何か別のものとして加工されたりするのだろう

私が孤独を寂しいと感じ
本能的に嫌うようにできているのは
世界内存在として生きる為なのだろう

様々な世界との連なりの中で
喜びを感じ
こうした世界との連なりが途絶えるにつけ
寂しさを感じるようにできているのだろう

このような感情は
肝臓や心臓にもあるのだろうか？

感情はないにしても
肝臓と心臓を結び付けている記憶や記録が
様々に動いているから
肝臓と心臓が助け合う関係が維持されているのだろう

私を覚えてくれている人がいる

それだけでうれしいと思う時がある