ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

生命と反応:私の身体は制約の多い旅の宿


「欠かせない存在だ」
「なくなっても良いものはどこにもない」


そういった世界の中で守られることもあれば


「なくなってはならないものは何もない」
「全てが替えの利く存在だ」


そういった世界で捨てられることもある


呼吸により吸収された酸素が
体を構成する有機物として利用されている間
その酸素は
なくてはならない欠かせない存在なのかもしれない


しかし
やがて分解され
二酸化炭素などになり
体外に放出される


世界の一部として
機能し活躍するためには
世界があらかじめ描いていた道筋に従う必要があるらしい


身体は
極めて保守的で
厳格な前例踏襲主義が採用されている


こうした身体のような厳格な世界では
酸素の自由は抑圧され
仕組まれ
仕掛けられている反応に従う運命に運ばれてゆく


そして
そのような厳格な世界から解放されると
再び
酸素は自由に動き回ることになる


そしてまた
酸素は
とある世界に捕捉されて
自由を失う


ネジも
棚や車の設計図に則り利用され
機能し活躍する


この間
ネジは自由を失う


緩むことは許されない


工具箱の中の使われていないネジは
気ままなものである


ゆすられるとゆすられるままに
カチャカチャと音を立てている


存在意義というものは
自由を失いながら獲得するものらしい


その世界の中で
自由を失いながら獲得するものらしい


だから
その世界が消失すると
その存在意義は消失する


その存在意義を維持するためには
その世界を維持してゆかなければならない


このような
好循環が成立するところに
世界が存在している


このような好循環が成立すれば
新しい世界が誕生する


だから
古い世界から新しい世界への移行は
古い世界からの解放と
新しい世界からの制限を伴うことになる


豚の身体の制限に在った酸素が
私の身体に入り込み
豚からの解放されたり
私による制限を受けたりする


そんな風に
世界を股にかけ
酸素は旅をしているらしい


私は
旅の宿なのだろう


せめて私の中にとどまる間
酸素には幸せでいてもらいたい

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