自然に抗い
自然に戻らぬように
命を育み続けている

木々も
苔も
自然に抗い
自然に戻らぬように
命を育み続けている

それでいて
自然に溶け込んでいる

自然に抗いながら
自然と調和を果たしている

そういった調和を眺めていると
森は自然であり
その中で暮らす野生動物たちもまた
自然に見えてくる

それでも
それぞれに
自然に抗って生きている

私には
私以外は自然であり
私だけが
私の創造物だ

だから
他者も自然であり
そんな自然に抗い
私を維持している

ただむやみに抗うのではなく
自然に調和するように
私を作り続けている

この意味で
私は自然の一部となる

この調和において
私は
私の自律性をなおざりにして
自然に近接する

このようにして
私は自然の中に
私の生きる道を捜さなければならないらしい

この探すという義務のために
目があり耳があるのだろう

嗅覚も触覚も味覚も
この探すという義務のために在るのだろう

こうして自然に近接しながらも
私は自然に抗い
自然に戻らぬように
生きている

この
近接と抗いの葛藤の中で
私は生き
生かされてゆくのだろう

立ち枯れ木々が並んでいる山を見た

松くい虫による被害だそうだ

もっと大きな木になろうと
木々は努力を重ねていたのだろう

今は立ち枯れている木々も
やがて朽ち
土に返ってゆくのだろう