ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

思考と実体:思考の逃走と思考の闘争


雪道でスリップを起こし
対向車にぶつかってしまったことがある


雪道なので
互いに
ゆっくりと走っていたので大事にはならなかったのだが
ブレーキもハンドルも利かない状態で
数秒間滑り
ゴツンとぶつかり停車した


この数秒間
突然
世界はスローモーションのように動いていた


何も考えられず
何もすることもできないまま
ただぶつかる映像を
ゆっくりと眺めていた


思考というものは
こういう時
何の役にも立たないからなのだろう
ただ休んでいるようである


実体が
思考を
完膚なきまでに押しつぶした数秒間だった


普段
思考は
不都合な実体があると
これに抗おうと懸命に仕事をするのだが
この数秒間は
何もしてくれなかった


このような
思考が実体から逃走するような状態も
思考と実体の関係の一つである


何とかしようと
もがき苦しんでくれる思考も
この数秒間は
お手上げだった


在るがままを受け入れることしかできない数秒であった


逆に言えば
普段は
あるがままを受け入れていないということになる


人間が
在るがままを受け入れない不遜を行うのは
思考の為せる業ということだろう


考えれても
考え通りにいかないと思えば
不遜にもならないだろうが
思い通りになると勘違いするから
不遜になる


まあ
それが
高度な社会を築き
高尚な精神文化を花開き
高度科学技術を開発してきたのだから
不遜も重宝な能力なのだろう


思考は
実体を凌駕しなければならないと考えるのが
もしかしたら知を愛することなのかもしれない


そう考える不遜な人もたくさんいるのだろうし
たくさんいて時代を築いて来たのだろう


こうした思考が実体と闘争している状態も
思考と実体の一つの関係である

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