しばしば
恨みを晴らすために
人生の大切な時間を消費する

もったいないけれど
恨みを晴らすことが
大切なことになってしまう事情があるから
仕方がない

このような事情が肝となって
物語が進行してゆく

過去の歴史が事情となり
物語の背後世界を支配している

人生の形而上として
それぞれの事情が成長してゆく

恨みを晴らすという
過去への崇拝が
人生の主題になってしまうほどに
未来に希望を見出しにくいのが
人生なのだろうか

人間は記憶を使い
うまく生き延びる生き物だ

うまくいった歴史の記憶を智慧として生かし
上手く生き延びる生き物だ

この帰納法的未来への跳躍が
恨みを晴らす行為へといざなうことがあるのだから
注意が必要だ

過去が未来を生かしも殺しもする

人間は
過去とともに生きなければ
未来を生きられない生き物らしい

過去を頼りとして縋り
生きながらえる生き物らしい

過去を
美しく書き直し
前向きに生きてゆきたいものである

それが
人間を未来へ成長させる本性なのだろう

人間だけではないかもしれない

美しい過去のプロトコールを残し
失敗した過去のプロトコールを削除する
自然選択の原則だ

美しい過去に
命の帰納法世界が花開く