ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

フェロモンの宮殿


人間は
言葉というフェロモンのようなものを使っている


極楽鳥の求愛ダンスや
ミツバチの餌の在り処を指し示す8の字ダンス
カエルの求愛の歌
こういった
動物の個体間で繰り広げられる会話は
「動物の言葉」と表現され
「昆虫や鳥も言葉を操っている。すごいぞ」」などと
考えたりしている


これは
言葉を自在に操っていると自負する人間が
言葉を動物の世界の中に見出そうとする営みであり
至極、人間中心主義的な考え方だ


では
人間を中心から外して考えるとどうなるかというと
冒頭に書いたように
言葉はフェロモンのようなものだ


フェロモンは
個体の個体の間で働く化学物質で
蛾の性ホルモンが有名だ


メスが出す性フェロモンのにおいを嗅いで
数百メートす先にいたオスが集まってくる


このように
フェロモンは
オスとメスの関係形成に寄与している


アリの行列は
アリが出す道しるべフェロモンに沿って
後続のアリが何匹も何匹を歩くので
行列ができてくる


フェロモンが放出されると
同種の個体の行動が規制される
それが
フェロモンの機能だ


言葉の放出も
他人の行動に影響をもたらすという機能があり
これはフェロモンと同じ機能だ


物質であれ
唄であれ
ダンスで有れ
言葉で有れ
感覚器を通じて
個体間で行動を干渉しあう関係が進化してきた


こうした刺激はみんなフェロモンだ


言葉ばかりではなく
感情や表情もフェロモンであり
互いにフェロモンを出し合い
干渉しあい
社会が成立している


この意味で
社会はフェロモンの宮殿だ


目には見えない
フェロモンが昆虫の行動を操るように
目に見えない
フェロモンの宮殿が
社会秩序を維持しながら
人間の行動を規制している


世代を超えて
創造され続け
補修され続けているフェロモン宮殿という伝統が
今生きている人たちや
これから生まれてくる人たちを
次から次へと招き入れている


去る自由もあるのだろうが
去りがたい魅力あふれる宮殿が
様々な場所で
様々な姿で
空高くそびえている

×

非ログインユーザーとして返信する